


iGEMチームはプロジェクトで得た知識・知見、プロダクトを公開・共有することによってiGEMコミュニティへと貢献している。我々のチームでは機械学習モデルとSoftware、それによって生成されたパーツを公開している。また、Wet実験で使用可能なHardwareやEducationのルーブリック、Wiki執筆を簡単に行えるシステムも共有することによってコミュニティに貢献している。
我々はタンパク質改良モデルであるLEAPSを開発した。これによって効率的に高性能なアミノ酸配列を探索し、Wet実験による金銭的・時間的な負担を軽減することができると考えている。
LEAPSは効率的に配列空間を探索することが可能なモデルである。一般的なアミノ酸は250残基からなるが、これの取る組み合わせは天文学的であり、全ての配列を網羅することは不可能である。また、タンパク質研究においては複数機能の改良(多目的最適化)が理想とされるが、既存の手法では様々な要因によって多目的最適化の達成が困難であった。
LEAPSでは、機械学習モデルを用いた効率的な空間探査が可能であり、より高性能なアミノ酸配列を生成することができる。これによって、これまで難しかった多目的最適化が可能となり、目的とする機能が複数存在する状況下においても、それを実現できるようになった。加えて、40配列という少数配列でも予測・生成が可能であるという特徴も持つ。これによってタンパク質改良が安価で高速に行うことができ、時間的・資金的な制約の多い中でプロジェクトを遂行する必要のあるiGEMerにとって、LEAPSは画期的なシステムである。
Modelについて詳しくはこちらを参照してください。
我々はタンパク質改良モデルをLEAPS-Softwareとして公開した。LEAPSは画期的なタンパク質改良モデルだが、使用するにはタンパク質に関する理解に加えて機械学習を使いこなす必要がある。我々の開発したSoftwareのUIにはステップフォームを採用しており、必要なデータを段階的に表示される指示に従って入力・アップロードするだけで簡単にタンパク質改良を行うことができる。これを公開することでiGEM Memberはこれまで大量に行う必要のあった変異体スクリーニングにかかるコストを削減することができる。また、タンパク質配列を簡単に出力できるため、iGEM Memberはプロジェクトで必要な高機能タンパク質の配列を獲得することが可能になる。これによって、タンパク質改良が加速し、iGEMのプロジェクト達成率も向上することが見込まれる。
Softwareについて詳しくはこちらを参照してください。
LEAPS-SoftwareはiGEMを含む様々なタンパク質応用領域において有効なツールである。その一方で、あらゆるタンパク質において目的の機能を最適化できるため、悪意のある第三者によって毒素タンパクやウイルスのスパイクタンパク質等のリスクの高いタンパク質を改良される可能性もある。また、利用者は自身の持つ未公開データをAIに入力することいった操作に対して不安を感じる懸念もある。
そこで我々はLEAPS-Softwareに対して様々なSafetyやSecurityを実装した。Human Practiceにおいて判明した内容から、リスクの高いタンパク質を「ブラックリスト」として配列相同性や立体構造類似性によるフィルタリングの対象とした。また、利用規約への同意や秘密保持の宣誓、チェックボックスへの回答等によって安全性と利用者の権利を守るSoftwareを目指した。
これらの対策は今後、他のiGEMチームが同様のSoftwareを公開する時にも重要であり、その際の参考となる。加えて、このようなリスクがあるということを提言したことも大きな意味を持つものであり、遺伝子やタンパク質を扱うiGEMというコミュニティにおいて価値あるものである。
Safety and Securityについて詳しくはこちらを参照してください。
我々は2つのHardwareを作成し、それらの設計図やプロトコルをiGEM コミュニティに共有する。これらのHardwareはLaboratory Automationの理念のもと設計された。Laboratory Automationでは、Wet実験に関わる操作を自動化し、それによってハイスループットで効率的な実験を目指している。我々のHardwareも一部の実験操作を自動化し、これによってiGEMで必要な形質転換や試薬調製の負担を軽減することが可能となる。これによってiGEMにおける実験の質と量が向上することが期待される。
Wet実験における操作を自動化するために我々は電気泳動装置と転倒混和器を作成した。電気泳動装置では電気泳動およびゲルの写真撮影とパソコンへの転送を自動で行う。また、転倒混和機では分注が完了したチューブをセットすることで自動で転倒混和を行う。これは転倒速度と混和時間の変更が可能で、大量に調整した試薬の転倒混和作業を自動化できる。我々が作成した2つのHardwareはどちらもWet実験の負担を軽減し、自動化することによってハイスループットな実験に貢献する。
Hardwareについて詳しくはこちらを参照してください。
我々は新たなEducationのモデルケースを実行し、共有した。また、Educationの内容や方針にとらわれずに各Educationを評価可能なルーブリックを作成し、iGEMに公開している。iGEMでは1年でプロジェクトが変わり、メンバーも再編されることでEducation先との繋がりは失われることが多い傾向がある。我々のモデルケースと評価基準はこの問題を低減し、iGEMでの持続的なEducation活動に貢献する。
我々は持続可能なEducationを目指し、地域および学内と密接に関わりあったEducation活動のモデルケースとして我々の活動をiGEMコミュニティに公開する。多くの場合、iGEMではプロジェクトが終わると新たなメンバーによって別のプロジェクトが立案され、活動が始まるが、これにより、前年に作られたEducation先とのつながりが絶たれてしまう。これによって毎年Education先を探すコストやコミュニケーションタスクが生じてしまう。そこで、iGEM TSUKUBAでは地域に根ざしたEducationを行うことで持続可能な教育活動を行った。
iGEMでは1年間に複数のEducationを行うことがよくある。このような場合、企画内容はそれぞれのEducationによって異なる場合がほとんどである。これらのEducationは、アンケートを用いて評価しフィードバックすることで改善に繋げることができるが、アンケートは企画ごとに異なっており、一貫した評価がどうしても困難である。そこで、我々は独自にRubricを作成した。Rubricは日本の学校における評価基準や学習指導要領を参考にしており、日本の学校教育によって築かれたベースの元に作成された堅牢な基準である。また、これには合成生物学に対する知識・理解の観点からEducation先との連携の観点まで多面的にEducationを振り返ることが可能となる。これによって統一された評価のもとでEducationを比較することができ、iGEMにおけるEducation活動のフィードバックをより効果的なものにすることが期待される。
Educationについて詳しくはこちらを参照してください。
我々はWiki執筆とその提出をより簡単にするためのツールを作成し、公開した。Wiki執筆はどのチームも行わなければならないが、評価基準を満たし、その上でコーディングをしなければならない。我々のツールはこれらの課題に対して有効な手段である。Wikiの要件を満たしていることをチェックするシステムによりヒューマンエラーに対応し、直感的に執筆が可能なツールによってその担当者がすぐにWikiを書くことができる。これらはiGEMチームがより質の高いWikiを書く際の手助けになる。
Editorは主にWiki執筆を簡易化するためのツールである。マークダウン形式で執筆可能で、直感的な操作が可能となる。加えて、画像や動画のアップロード、テキストや見出しの切り替え、数式の挿入等も可能であり、Wikiを書く際に必要となる形式のほとんどに対応している。複数ページをWikiに掲載する際のパス名にすることによって後述するWiki Submission Systemによって読み取られる。同時編集にも対応しているため競合を起こすことなく複数人で執筆できる。このツールによってコーディングの知識がない人もWiki執筆に参加できる。そのため、そのページの内容に貢献したメンバーが直接執筆を行うことができ、より質の高いページを作成することが可能である。このツールはiGEMメンバーのWiki執筆のハードルを下げることで、iGEMコミュニティへと貢献している。
Wiki Submission SystemはEditorで執筆されたWikiページがWikiの規約に違反していないことを監視するとともに、そのページを公開するまでの橋渡しをしてくれるシステムである。Editorでページの公開、投稿が選択されると、このシステムが画像形式やGitLabへのアップロードを検出し規約違反がある場合には警告が通知される仕組みになっている。これによって規約違反による失格のリスクを低減することができ、iGEMの評価を受けるための助けになると期待される。
Wiki Writingについて詳しくはこちらを参照してください。





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